ボルトもそろそろペースダウン?

  • PUMA Running
  • Written on:October 13, 2009

これは、マイケル・ジョンソンが『ニューズウィーク』10月5日号に寄稿した記事です。彼の考えはいつも非の打ち所がないように思えますが、最初のうち、私はその根拠にいまひとつ納得できませんでした。一晩よく考えてみましたが・・・やはりピンときません。

bolt_slow_down.jpg今年の陸上競技シーズンが終わりを迎えるなかで、明らかになったことがひとつあります。それはウサイン・ボルトのような選手はいない、ということです。ジェシー・オーエンス、カール・ルイス、そして私はいくつもの記録を更新しました。どんなスポーツにも若き天才がいます。タイガー・ウッズやウェイン・グレツキー、マイケル・ジョーダンはさまざまな記録を塗り替え、一躍スターダムに登りつめました。けれども、ボルトの驚くべき点は、若干22歳にして、短距離走者がなし得る偉業をことごとく達成したことです。彼は世界選手権とオリンピックで金メダルを獲得し、100 mと200 mの世界記録を塗り替えました。実際のところ、「塗り替えた」というより「打ち破った」という表現がふさわしいかもしれません。今夏の世界陸上ベルリン大会では、昨年の北京オリンピックで自らが打ち立てた世界記録を0.1秒以上縮め、100 mを9秒58、200 mを19秒19で走り抜けました。

とはいえ、ボルトにも、そろそろペースダウンする時期が来たのかもしれません。肉体面では、間違いなく競技を続けることができるでしょうし、今後どこまで速くなるのか見当もつきません。ただし精神面となると話は別です。若くして成功したアスリートにとって最も難しいのは、モチベーションいかにして維持していくかということです。レースを始める前から自分が勝つことがわかっており、ボルトのようにたくさん稼ぎセレブの地位を築いたアスリートであれば、「やる気をどこから奮い立たせられるのだろうか」と、どうしても思い悩むでしょう。確かに、彼はもっと速くなるでしょうし、これからも記録を塗り替えるでしょう。けれどもボルトは、私をはじめ他の選手が10年以上かかったことを、わずか2年で実現したのです。これ以上、何を成し遂げればよいのでしょうか。

来年は、陸上競技の大イベントである世界選手権もオリンピックもありません。休みを取り、慈善事業に力を入れ、他のトラック競技に再び焦点を合わせるには良い年です。出場試合をコモンウェルス競技大会に絞り、母国ジャマイカのチームに参加してもよいでしょう。もっとも、ボルトが休息を取ったほうがいいと考える理由は他にもあります。彼は、団体競技が主流となっているアメリカで、陸上競技への関心を呼び覚ましました。けれど、彼ほど速い男でも、あらゆるレースで記録を塗り替えるわけではありません。しかも、彼が速すぎるあまり、トラック競技のスリルは徐々に失われてしまうでしょう。なにしろ、ボルトがレースに出れば、私たちには勝者が事前にわかってしまうのですから。




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