ボルトの広報担当、キャロル・ベックフォード
ウサイン・ボルトの毎日の生活の舞台裏ではどんなことが起こっているか考えたことはありますか。私はあります。とりわけ、ビジネスの対象や世界的なブランドとしてボルトに関心を寄せる、ビジネス・コミュニケーションの世界ではどうなのでしょうか。
地域のマスコミや世界的なメディア相手の会見や、各所への顔出しをうまくやりくりするのは、口で言うほど簡単ではありません。なんと言っても、ジャマイカのトレローニー教区に生まれ、つい数年前に二十代になったばかりの男にとって、米国CBS放送のトーク番組『レイトショー ウィズ デイヴィッド・レターマン』に出演するなど、はるかかなたの世界でした。しかし、それが現実となったのです。オリンピックと世界陸上で大成功を収めたのち、世界各国のマスコミはこぞってボルトを口説き、もてはやしました。
そこでキャロル・ベックフォードの出番です。スポーツの専門家で、自らもスポーツをたしなみ、ジャーナリストでもある彼女は現在、ボルトの広報担当といううらやましい肩書きの持ち主です。
ベックフォードは、アナウンサー、プロデューサー、ニュースライターとしてテレビやラジオでニュースやスポーツや時事問題を15年以上扱った経験を持ち、2007年には著書『Keeping Jamaica's Sports on Track』を上梓しています。
広報担当になった経緯は?
「今はウサインが所属するレーサーズトラッククラブの仕事に携わっています。ウサインのマネージャーにスカウトされ、すばらしい機会をオファーされました。まずウェブサイトusainbolt.comのコンテンツを充実させ、それから9月14日にウサインが母国に凱旋したときの歓迎委員会の一員として働きました。マネージャーは主要関係者たちと協議したのち、ウサインの広報担当にならないかと私に持ちかけてきました。ためらうことなく承諾しました。ウサインはアスリートとしても人間としてもすばらしく、一緒に働きやすい相手です」
仕事はどんな様子ですか?
「私たちは、はるか南極をはじめ、世界のあらゆるところから途方もない数の要望をもらっています。ウサインの日々の活動には、インタビューのスケジュール調整、要望への対応、ファンレターへの返答、会合への出席なども含まれます。ウサインは休暇中ですが、みんなが少しでも彼を引っ張り出そうとするので、たいへんな忙しさです」
「スポーツにおける広報活動は、イメージや評判を築いたり、スポーツ界の外でファンへじかにアピールするメディア戦略を展開したりするために、とても重要です。だから例えば、私たちはライフスタイルの宣伝に目を向けるようになりました。それにチャリティーも、「地域を大切にし、地域に還元する」というメッセージを伝える宣伝活動として大事な役割を担っています。そうしたメッセージは、イメージ全体が成長するための鍵を握っています」
「スポーツは巨大ビジネスですから、慎重な学習が求められる業界です。スポーツビジネスでは巨額の金が動いていますが、開発途上国はスポーツビジネスから恩恵を得るための戦略をもっと発展させなくてはなりません。単なる運動体験以上のものになったスポーツを消費するには、数多くの方法があります。スポーツは従来どおりの方法だけでなく、従来にない方法を通じて、これまで以上に利用しやすいものになっています」