モーゼス・キプシロの詳細レポート

  • PUMA Running
  • Written on:March 30, 2010
kipsiro.jpg プーマ・アスリートでウガンダのモーゼス・キプシロは、昨年2009年の世界クロスカントリー選手権で2位に、同年の世界陸上と2008年のオリンピックの5000 mで4位に入りました。ウェブサイト「LetsRun.com」に、キプシロについてPJ・ブラウンによるすばらしい記事が掲載されています。以下は、その記事の抜粋とリンク先です。

現在23歳のモーゼス・キプシロが広く名を知られるまでの生い立ちは、ひと口では言い表せない入り組んだものですが、ジョン・アキ=ブアと非常に似ています(アキ=ブアについてはひとつ前に掲載した記事をご覧ください)。ウガンダを案内するツアーガイドは、緑豊かな景色、息を呑むほど美しい山や湖、数多くの野生動物や自然公園について語ります。ウガンダはナイル川の源流であるだけでなく、気候も世界一だと評判です。しかし、貧困、飢餓、犯罪、暴力について、ツアーガイドの口から語られることはありません。ウガンダでは、ごくわずかな人々しか満足な食事にありつけません。そのさらにひと握りの人しか、基本的な医療、学校教育、その他の社会福祉を受けることができません。そんな環境のなかでキプシロは育ちました。

「ずっとアスリートになりたいと思っていた」とキプシロは静かに語ります。「アキ=ブアが金メダルを獲得したとき、僕はまだ生まれてさえいなかったけれど、両親や家族がよく話をしていたし、学校でもアキ=ブアの偉業について教わった。アキ=ブアの成し遂げたことに肩を並べられるとは思わない。アキ=ブアはこの国の大多数の人にとって、心を鼓舞してくれる存在だからね」

ウガンダでのトレーニングは、地形、環境、時期を考慮して選ぶことが必要です。アフリカ人ならではのスタイルを守り続けるキプシロは、走った距離を数えません。特定の距離を走るのではなく、いつも時間を決めて走ります。毎日1時間か90分走りますが、1日に2回走ることもありますし、1時間のランニングを複数回こなすことも少なくなく、柔軟に対応しています。トレーニングのメニューには、適度なペースで40~50分走るテンポ走や、ヒルトレーニングも盛り込まれています。たいてい週に計80から100マイル走ることになりますが、それよりもかなり少なくなることもあります。基本的に日曜は休養日です。

トレーニングは高地で、コーチや代理人のリッキー・シムズ(ウサイン・ボルトの代理人として有名)を伴わずに、ひとりで行っています。しかし、コーチは日々の練習内容をしっかりチェックし、トレーニング過多にならないことに満足しています(キプシロのトレーニングの詳細は、ウェブサイト「LetsRun」の記事中のコラムに掲載されています)。

シムズは次のように語っています。「モーゼスはたいへんな才能の持ち主だ。なかでもすばらしいのは、ラスト1周の走力だ。ラストスパートがとても速い。1周59~60秒ならゆうゆう走れる。1周52~53秒のラップをこなせるかはわからない。ラスト1周をどれくらいで走れるかは、レースのそれまでのペースに左右される。スローペースでラストを迎えたら、最速で51~52秒に迫るタイムを出すランナーもいるだろう。モーゼスはかなりのスパート力があり、自信も持っているが、私たちはさまざまなペースを想定した練習に取り組んでいる」

「モーゼスはランナーとしても優秀で、先頭から少し離れた位置で後ろからレース展開をうかがうのを好む。私たちはこれまでモーゼスがランナーとして足固めできるように尽力してきたが、2009年には、それが形となって見えてきた」。キプシロはモナコで、ウガンダ新記録の7分30秒95のタイムで優勝。英国のゲーツヘッドでも、バーナード・ラガトを下して優勝しています。

2010年の出場予定には、春の世界クロスカントリー選手権、夏のアフリカ陸上競技選手権と秋のコモンウェルスゲームズが盛り込まれています。負傷から復帰したばかりのため、万全の状態に戻るまで数か月かかるかもしれません。そして、3000 mでは7分30秒、5000 mでは12分50秒を切るタイムを目指しています。「僕が一番好きなのは5000 mで、できればタイムを12分45秒まで縮めたい」と語るキプシロですが、5000 mでは2007年の世界陸上での銅メダルに加え、2008年のオリンピックと2009年の世界陸上で4位に入っています。

アキ=ブアとは異なり、キプシロには総合的にサポートしてくれるチームがいます。「ウガンダ陸上競技連盟とモーゼスに対するプーマの貢献は軽視できない。プーマはモーゼスを手厚くサポートしてくれている」とシムズも認めています。

才能豊かなキプシロの今後について、シムズは慎重ながらも自信に満ちた言葉で語っています。「将来について大言壮語するのは馬鹿げている。私の口から言えるのは、モーゼスが中距離界を制覇できるかどうかはまだわからないが、間違いなく有力選手のひとりになるということだ。アフリカの他のアスリート同様、モーゼスはすばらしいスポーツ大使だし、その成功はウガンダにとって大きなプラス要素だ。モーゼスの評価は上がりつづけており、できることならば末長く競技生活を送ってもらいたい」

最後は、キプシロの言葉で締めくくりましょう。「ウガンダの陸上競技におけるアキ=ブアの地位は、孤高のものだ。アキ=ブアは唯一無二の人物であり、国の状況が違っていたら、陸上でもっと多くのことを成し遂げていたはずだ。アキ=ブアのような巨大な存在に代わることはできない。アキ=ブアは伝説であり、そうなるのも当然の人だ。アキ=ブアと並び称されるのは名誉なことさ。でも、アキ=ブアと張り合うつもりはない。僕を鼓舞してくれる存在だからね




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