2009年8月18日 20:35
世界最高のレース
ベルリンの晴れわたった夏の一夜、7万5千人の観客が歴史的瞬間をひと目見ようと集まりました。色鮮やかなジャマイカカラーが見え隠れする観客席は、大観衆の熱気で溢れかえっていました。ボルトは、同じジャマイカのアサファ・パウエルとふざけあい、カメラの前でおどけたあと、ジャンプして、体を伸ばしました。独特のリラックスした様子で、ボルトは伝説の男となるべくスタートラインにつき、スタートの合図を待ちました。
鮮やかなオレンジのプーマシューズを履いたボルトをはじめとする8人の男がスターティングブロックに足をかけると、全観客が息を呑み、場内は静寂に包まれました。
スタートの号砲が鳴り響きました。
9.58秒後、ボルトはフィニッシュラインを越え、時計に世界新記録が表示されると、観客は沸きかえり、世界最速の男は鳥が舞うように両腕を広げました。
ボルトに不可能なことは飛ぶことくらいでしょう。
フィニッシュラインを越えるまで歓喜を抑えて走り切ったボルトは、速さの定義を書き換えました。世界記録を更新し、タイソン・ゲイとの誰もが待ち望んだ対決を、ひとり舞台へと変えたのです。

ボルトは観客席の両親の元へ駆け寄り、満面の笑みを浮かべる母親と抱き合いました。パウエルとダンスを踊ったり、カメラの前でポーズを取ったり、(大会マスコットの)ベルリーノとハイタッチを交わしたりするその姿は喜びに満ち溢れていました。
今となってはボルトの敵は、時計だけのようです。ボルトが本気を出せば、時計でさえも敵わないかもしれません。「世界記録のために走っているわけではない」と本人は言っていますが、記録がボルトの真価を見出し、彼の偉業を定義する役割を果たします。ボルトはもっと速く走れると考えており、「9秒4で走れると言ったことは覚えている。先のことはわからないけど、自分はトレーニングを続けるだけだよ」と笑顔で語りました。
まだあの瞬間の余韻が残るなか、ボルトはすでに200 mの決勝(20日)と4 × 100 mリレー(22日)のことを考えています。
あと2回、大興奮のレースを目撃できるのは間違いないでしょう。そして、さらなる世界記録が打ち立てられる瞬間を目にすることはできるのでしょうか。














プーマが契約しているウサイン・ボルト選手をテーマとした夏のキャンペーンがスタートしました。










